同人との出会い
中学校に入学し方向性の違いにより吹奏楽部を2週間で退部した私は、続いて美術部の扉を叩いた。
そこは、ほぼ同人活動勤しみ部と化しており、同人活動と出会ってしまった。
原稿用紙、スクリーントーン、つけペン、先輩方に教えてもらってお絵かきを始めた。絵を描くのは昔から好きかつ漫画を読むのも好きだったのでハマるのに時間はかからなかった。
同級生3人で、よろず(ジャンルごった混ぜの意)サークルを作り、ペンネームも考えた。厨ニっぽい名前をつけていた記憶がある。星とか入ってた。
一応二次創作をしていたものの、当時は漫画を描けるほどの画力も胆力も構成力も本を作る金も何もなく、ただひたすら同人便箋とラミカと色紙を作った。でもそれだけでも楽しかった。中でもやっぱりグラデ便箋が好きで良く作り、フルカラーに憧れた。基本はB5サイズで、たまに友達と折半してB6サイズ(B5の原稿用紙に半分ずつ絵を描いて、納品後に半分に切る)で色の種類を増やしたり、合同で描いたりもしてた。
ペーパーも作ってたけど、今みたいに短めの作品とかじゃなくて、友達との対談とか、近況とか通販情報とかで更に住所や名前を載せてた。今考えるとやばいね。
その同人便箋たちを頒布する為に田舎でやってるコミケのめちゃくちゃ規模がちっちゃいオールジャンルイベントに初めてサークル参加した。
会場へは母が車で送ってくれた。イベント中は隣の温泉施設にいるわ〜って言ってたのに、飽きたのかイベント会場に来て他サークルのグッズとか買っていた。娘の趣味に理解がありすぎる。なんでやねん……。母は私と弟の影響でジャンプを愛読していたし、二次創作への理解もあったが、娘としては母親が同じ会場にいるのはなんとも恥ずかしかったので次からは送迎を断り、電車で行った。母は行きたそうにしていたし、電車だと駅から歩く距離が長くて大変だった。いまいち道がわからず同じ会場に行くであろうキャリーを引いたお姉さんに着いて行った。
他サークルもわりと同人便箋や色紙を頒布しており同人誌よりも多かったと思う。便箋は10枚で100円とかで中学生にも手を出しやすくありがたかった。
綺麗なイラストの便箋をファイリングして、10枚のうち1枚は絶対使わずに取っておいてた。残りの9枚を何に使ったかと言うと、もちろん用途通り便箋として手紙を書いた。
同人便箋のほかに同人封筒というものがあり、ただの茶封筒に絵を描いたりスタンプを押したり、シールを貼ったりしたものだったが、同人封筒で手紙が届くと私は嬉しかった。ただこれは人によっては使用不可だったりもした(家族にバレたりするので)
私は親が年賀状作成の為に購入したプリントごっこで同人便箋を作った。
プリントごっこの廃盤はとても悲しい。
先述したようにこの頃のペーパーには個人情報が載っており、通販の他に文通も活発だった。
私もファンロード(同人雑誌)で見つけた趣味が合いそうな同い年の子に手紙を書いた。返事をもらって、ほぼ週一くらいで手紙を出し合ってた記憶がある。今週のジャンプの話だったり、学校での出来事だったり、お気に入りの同人便箋を交換したりした。
受験シーズンに入ってやりとりが途絶えてしまったけれど、あの頃から友達と好きを共有するのが好きだった。これは今Twitterでやってる事とあんまり変わらないなぁと思う。
高校に入学した私は、同人活動から足を洗った。腐女子も卒業し専門科目と演劇に勤しむ予定だったのだが同人誌を買わなくなった影響か、今度は商業BL小説にドハマりした。でも自分的には腐女子を卒業したつもりであった。冷静に考えたらただ自分で創作しなくなったというだけの話で全く卒業できていない。
商業BL、18歳以下でも買えるのになんかめちゃくちゃエッチだよね。いいのかな?と思いながらも買うのをやめられなかった。この頃からドスケベが大好きだったのでもう抗えない運命なんだなと思う。
文庫本の小説はカバーをかけると中身がエッチだとは誰も思うまい……という感じで、通学の電車で毎日読んだ。片道1時間、合計2時間だったので1日で大体1冊読めた。おかげで無数の商業BL小説を読んだ。
買った本はベッドの下の引き出しと学習机の引き出しに隠していたが親には普通にバレていた。娘の部屋の引き出しを勝手に開けるな。
ある日知らない他校の男の子に「毎日電車で本を読む姿が素敵だ」と告白をされた。それはえっちな商業BLを読む姿ですが?と変な汗が出た。清純な幻想を抱かせてしまってすまない……と思いお断りした。マジでごめん。人は見かけで判断してはいけないよ。
そんな感じで3年間過ごした後に、たまたま本屋で特集されていた漫画を試し読みをしてしまい……気づけばカップリング名を検索していた。
私は腐女子に舞い戻った。戻ったも何もずっと腐女子だったけれど、気持ち的にはそうだった。
3年の間に同人界はネットが主流になっており、大学の入学祝いに買ってもらったパソコンで私は毎日推しcpを検索し、ホームページを巡った。大体のHPは検索避けされている為専用のサーチページからしか辿れなかったり、裏ページにたどり着くのに必死こいたり、好きな作家さんの相互リンクから更なる好き作家を探したりそれはそれで楽しかった。
大学生活は課題に追われ自ら創作することはなかったが、田舎から関西に出てきたことで、大きなイベントで同人誌が買えたり、書店で買えたり、読み専としてはかなり充実した日々が送れたと思う。
久しぶりにイベントに参加した時、何年経っても長机を並べてやりとりをする同人即売会のスタイルって変わらないんだなぁとしみじみしたし、やっぱりイベントが好きだなぁと思った。
青春と同人ファーストシーズン 〜完〜
ちなみに現在は同人サードシーズンです。
にゃんちゅう
0コメント